2018年11月26日、中国の研究者 賀建奎副教授がゲノム編集の技術を人の受精卵に応用し、双子の女児を誕生させたと主張して話題になっています。
問題の動画:
HIVに耐性を持った女児が生まれたと主張
遺伝子編集ベイビー
ヒトの受精卵をゲノム編集で操作し子供を誕生させることは、倫理、技術の両面から問題が指摘されており、今までに誕生した例はありませんでした。今回の主張が事実だとすると、世界初の誕生例となります。
賀建奎副教授について
賀建奎副教授が所属する南方科技大学のWEBページの紹介によると、
- 2006年、中国科学技術大学 現代物理学 学士号取得
- 2010年、ライス大学 生物物理学 博士号取得
- 2011-2012年 スタンフォード大学 ポスドク
という経歴です。その後、南方科技大学に就職したとされています。
また、賀建奎副教授はビジネスにも積極的で、7社の株主、6社の代表取締役を務めているようです。その中でも、最初に設立したDirect Genomics社は2018年4月に2.18億元を調達するなど、注目を集めていました(科学网)。
批判
南方科技大学は声明を発表し、賀建奎副教授は現在休職中(2018年2月—2021年1月)であり、今回の件について大学は関与していないことを説明しました。今後、独立委員会を設置し、調査を進める予定であるとのことです。
また、中国の科学者の間からも批判の声が上がっており、122人が共同声明を発表し、「人体実験」を行ったことに対して反対を表明しました。
Second International Summit on Human Genome Editingでの発表
2018年11月28日、香港大学で開かれた国際ゲノム編集会議で賀建奎副教授が発表を行いました。この発表は、今回の騒動以前から予定されていたものであり、元の発表内容を変更して行われました。発表では、マウスにおけるCCR5ノックアウトについての説明、そして今回の件のヒトにおけるCCR5ノックアウトについての説明がありました。その後、参加者から質問を受け付けました。その中で、遺伝病を持った患者たちを助けるために、今回の成果が役に立つことを強調しました。また、今回生まれた双子以外にも、もう一人妊娠している女性がいることを明らかにしました。